インドを大名旅行しただけで世界観が変わった話
報告遅れましたが、インドに旅行してきました。8/15~24の9日間。
親父がたまたま仕事の会議が現地であるということで、それついでに旅行しようということで行ってきました。
正直なかなかハードな旅でしたが、得たものは大きかったです。
旅行ログと感想と思考と、てんこ盛りなボリュームになってしまいました(;・∀・)
インドはこんな場所だった
旅行を振り返る前に、インドという国の基本情報を体験を踏まえて紹介したいと思います。
(出典:地球の歩き方インド)
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言語
公用語はヒンディー語、らしいけど英語でなんとかなった。インドでは英語は補助公用語だけあって凄い浸透してた印象。向こうの人達も英語で喋ってる場合も結構あったし、店の看板とか英語だし。
やっぱ英語は万国共通。うむ。
宗教
ヒンドゥー教が80%、イスラム教が13%、キリスト教が2%、その他もろもろ。
ヒンドゥー教の特徴は額、というか眉間?についてる赤いヤツが特徴。
出典:
インドのビンディでフェスメイクが最強キラめく☆ | EDM MAXX
これはビンディーと言ったりティッカと言ったり、いろいろ呼び名があるそう。*1
神様でいうと、シヴァとかヴィシュヌとかガネーシャとか。
ホテルにあったガネーシャの像
飲み物
まず一番警戒してたのは飲み水。
インドで安全な水を飲むにはミネラルウォーターを買うしかない。そしてレストランでも頼まないと出てこない。ぬるい、そして日本の水道水ほど美味しくもない。
ホテルの水道水も信用せず、歯磨きにもミネラルウォーター使ってました。
もういっそ持ち込みたかったけど、液体は飛行機で弾かれちゃいます。日本の水道水、普通に飲めてるけどあれ美味しかったんだなって思った、マジで。
その他、ジュースとか炭酸飲料はすごいあった。ファーストフード店にも行ったけど、コーラ、ファンタ、スプライトは必ずあった。ただし味は日本より薬っぽい感じがした。
ホテルではコーヒーを飲んでいたけど、さほど美味しくはなかった。元々コーヒー飲む文化がないからかなぁ。
食事
「インドの食事といえばカレー!」ってのは誰もがイメージするとこだと思いますが、言うほどカレー推しではなかった印象。
印象的だったのは、ベジタリアンの表示と肉の種類。
インドではベジタリアンが多いらしく、食事のメニューもベジタリアン料理かノンベジタリアン料理かがきちんと書いてあった。
こういうマークがメニューの横に書いてある。出典:
インドのベジタリアン識別マーク | あちゃなびーインドに住む日本人の情報サイト
あと前述の宗教の関係で、ヒンドゥー教は牛肉がダメ、イスラム教は豚肉がダメ、つまり残るは鶏肉しかないんだな。もうひたすらチキン。
ホテルでバイキングした夕食。ほぼ全部チキン。カレー味のチキン、タンドリーチキン、なんでもないグリルチキン…
世界的ファーストフードも例外じゃない。バーガーキングでもマクドナルドでもチキンしかない。
マックが一番日本のと近い雰囲気だった。
味付けはとにかくスパイシー&チリ。辛いのは嫌いじゃないけど、日本の「だし」みたいな深い味わいは感じなかったので、一週間もいればさすがに飽きる。
味噌汁恋しさ半端なかった。
トイレ
インドのトイレに紙がないのは基本。ウォシュレットなんてのも当然なく、便座脇に置かれたバケツから水をすくってかけながら、左手で洗う。らしい。もちろん手洗いはする。
幸いホテルのトイレは旅行者向けなのか紙があったので、普通にトイレができた。念のためトイレットペーパーは持っていっていたけど。
ただ外のトイレは観光地といえ、紙もなくかなりの悪臭と不潔さだったので、ホテルと空港以外はできるだけ避けてた。
ちなみに、ホテルのトイレにはウォシュレット代わりのシャワーがついてました。これはこれで使いにくい。
時差
時差は三時間半。時差一時間の香港を経由したこともあり、さほど感じなかった。だいたいネット使える時は日本時間の夜中、寂しかった...
物価
向こうの単位はルピー(Rs)。Rs1が約1.7円。
あまり外で買い物はしなかったのだけれど、だいたいホテルのレストランでの一食がRs500に収まるぐらいだったので、日本円で850円。日本に比べると結構安い。でもインドの日給的に見ると安くはないらしい。あくまで日本円と比べて。
旅の奇跡 with picture
今回の旅のルートは
成田→(香港経由)→ムンバイ→アウランガーバード(アジャンター、エローラ)→ハイデラバード→(香港経由)→成田
という感じで、
ムンバイに2日、アウランガーバードに3日(1日ずつ使って観光地のアジャンターとエローラを日帰り)、ハイデラバードに3日、帰国というスケジュールでした。親父の会議があったのはハイデラバードという最後に行った都市で、その一日は俺はホテル待機して過ごしました。
お恥ずかしい話ながら、旅前のモチベが驚くほど低く、全く下調べもしないまま大枠の予定だけを決めて出発してしまったので、なかなかの行き当たりばったりでしたが、まぁなんとかなりました。移動はだいたいタクシー、食事は基本ホテルなど、現地での外出を控えたなかなかの大名旅行でした。
ムンバイ
まず最初に降り立ったのがこのムンバイ。
到着は初日の夜遅くで、実際に外を巡れたのは1日、もう1日は移動日でした。
ムンバイでは特に観光地に行く予定はなかったのでホテル周辺を散策することになりました。
ホテル目の前の海岸。すごい広々。ただゴミがかなり多い。
あと陸側の日陰には男女が何組も。どうやら逢引スポットみたい。肌は隠して欲隠さず。
ムンバイの町並み。狭い道路に車やバイクや人がごっちゃごちゃ。
黒と黄色のオートリクシャーとかいう人力車が元になったインド独特の乗り物が多い。
車はスズキやトヨタを見かけたりと、すごい日本っぽい車。
男性はだいたいワイシャツ、女性は民族衣装でめっちゃカラフル。
ちなみに泊まったホテルにはプールやらヤシの木やらあってすごいリゾート感。
アウランガーバードへ向かう途中、ムンバイ空港のキノコみたいな屋根。
アウランガーバード
ムンバイの東にある町で、石窟寺院で有名なアジャンター、エローラへの観光基地として知られています。
今回寄ったのもその2つに見に行くため。日本人もよく来る場所らしく、インドのホテルで唯一日本語を少し喋れる人がいた。
アジャンター
アウランガーバードから北100kmの渓谷にある仏教石窟群。ホテルからタクシーで直行したけど片道2時間近くかかった気がする。
本当に山奥で、タクシーで入り口についてから更にバスに乗って山道を抜けてたどり着く。
崖に掘られた洞窟という感じ。石窟は全部で30個あり、未完成のただのほら穴から、壁画や仏像がある石窟までピンきり。閉鎖中のもあり、回れたのは20ほど。
第1窟にある壁画。中国、日本の古代仏教の源流だとか。特にここの壁画は綺麗なまま残っていて、見応えがあった。
最後に見た26窟のストゥーパ。アジャンターが作られた時期には前期(紀元前1世紀)と後期(紀元5世紀)があり、後半の石窟は後期のもの。作りの細かさが全然違う。
26窟にはインド最大の涅槃像もあった。
石窟の外にはちらほら白いサルが。ハヌマンラングール。インド神話のハヌマーンという神様の使い、という扱いらしく保護されてるので人馴れしてるし食べ物盗ったりやりたい放題。
帰りのタクシーで走りながら撮った商店街。うーんインドっぽい。
エローラ
アジャンターよりは近い、アウランガーバードから30kmにある同じく石窟群。アジャンターほど山の奥地ではないが数は34と多く、仏教石窟群(1~12)、ヒンドゥー石窟群(13~29)、ジャイナ教石窟群(30~34)と3宗派の石窟がある。まわれたのは16窟まで。
エローラの目玉かつ見どころのほとんどが、この16窟。脇の崖を登って撮影。
カイラーサナータ寺院という名もあり、要塞みたいなデカさで、コレ一つが観光地として成り立つんじゃないかレベル。
横から。よく見ると彫刻がすごく細かい。
実際に正面から入って寺院の壁面を見ると、像の彫刻がびっしり。ほぼ全部鼻と牙がない。
人の彫刻も、とにかく細かくて圧倒される。
1~16まで見たが仏教系はアジャンターに比べると地味で、16窟以外では12窟と15窟が印象的だった。
マンションのような12窟。一階は地味だったけど二階三階と奥行きがとてもあり、中には仏像が整列。
15窟はヒンドゥー系。仏教に比べるとみんなポージングが動的。
ボルトみたい!と思ったけど弓構えてるんですよね、知ってた。
石窟の奥行きが長く、光源は日光しかないから奥に行くほど暗い。けど逆光で撮ったらこんなカッコイイ感じに。
ハイデラバード
ハイデラバードは親父の会議の会場があったので行ったようなものなのですが、外国人もたくさん来ていて、その会議の出席者とその家族向けの外国人旅行者向けツアーが用意されており、それに1日参加しました。
ムンバイ、アウランガーバード共に東インドでしたが、ハイデラバードは南インドでイスラム教徒が多い町です。
ツアーで行ったのは王たちの廟(びょう)、とゴールコンダ・フォート。
王たちの廟はイスラム王朝の、その名の通り王たちのお墓。
模様がめっちゃ綺麗!
ゴールコンダ・フォートとは山に作られた要塞。
上部には迎撃する仕掛けが見える。
どことなく万里の長城っぽい。
ひたすら登る。ガイドの人がずんずん登っちゃって、ツアーで一緒に人達も汗かきながら頑張ってた。でも外国人が自分たちの他にもいるのはなんか安心した。
頂上は絶景。カップルが多かったしデートスポットなのかな、
頂上の壁のあちこちにカップル落書きが。こういうのはインドでもあるんだね、面白い。
そしてなんといっても思い出深いのがインド出国の朝。
突然ホテルのスタッフが押しかけて来たと思ったら誕生日ケーキが!!!!!
「えっ…俺誕生日じゃない、あれっ…今日ってもしかして8月23日…」
一ヶ月早いわ!!!!!
なーんてツッコむこともできず、勘違いされたまま一ヶ月早い誕生日を祝福されてしまいました。どこで間違われたのか…もしかして時差一ヶ月あったのかな…
お二人ともホテルのスタッフの方です。猫が俺です。
勘違いとはいえお祝いはありがたいもの…チョコケーキありがとうございます…後で空港の待ち時間に美味しくいただきました…
感想+α
発展途上国って凄まじいな、というのが全体としての感想。日本という豊かな国で当たり前だったいろいろが全部崩されて、いかに自分が環境と成熟した社会の仕組みに守られていたかを実感した。
交通は信号もほとんどなくて車もバイクも人もごちゃまぜ、空き地や廃棄されたビルもたくさん。ゴミはあらゆるところに散らばってるし、日陰になっている歩道はジメジメして臭いがキツい。
テロ対策か、ボディチェックはありとあらゆる場所である。
ホテルの入り口、観光地の入り口。銃を携帯した警備の人もあちこちにいて緊張感が抜けない。
荷物を運ぶだけの人。タクシーまで案内するだけの人。細かい作業にも雇用が割り当てられている。雇用は多い、けどみんななんかダルそうに見える。日本が真面目すぎるのかもしれない。サービスも見返りありきの概念、うっかり好意かと思って案内されてしまうとお金を請求される。(特にアジャンターでひどかった
ひしひしと感じる階層社会。ホテルで働く人、空港で働く人、街を歩く人、地面で寝ている人、文字が書ける人、書けない人。
アライバルビザという、到着時点でビザを取得せる仕組みを利用したものの係の人がなかなか現れなかったり慣れていなかったり、かれこれ入国するだけで3時間。
アウランガーバードからハイデラバードまでの飛行機が搭乗してから雨の影響か4時間以上の遅れ。
帰国する日に早く空港に着いてのんびり過ごそうと行くと、早すぎるからと空港の入場を拒否される。
一番の衝撃は、観光地ではいかにも貧しそうな子供と母親が物乞いをしてくること。母親に抱えられた子供ですら、母親の見様見真似で物乞いをしてくる。
日本ではありえないこと、でも向こうでは当たり前のこと。
疲弊はしたけど、だからといって「ここは酷い国だ」なんて一言で済ませられない、そう思った。本質はそうじゃない。
世界観が変わった話
そもそも海外旅行が好きじゃなかったし怖かった。なんだったら国内でも怖かった。自分の安心安全な場所から一歩も外に出たくなかった。世界は怖い。一人じゃ歩けない。
インドの社会は、要するに日本から見たら「時代が遅れている」ようなものなんだと思う。江戸時代になぜか車とスマホが導入されちゃった、みたいな。
実際にその社会としてはそれはそれで成り立っていて、たぶん暮らしている人達はさほど不幸じゃなくて、豊かな人達もいて。でも日本よりも如実に優しくない、守られていない社会だと思った。
こんな生活で満足して、そしてそれ以外を知らずに死んでいく人達がいる。当人たちにとってそれは不幸でもなんでもないだろう。でももしそれが自分だったら。それは何かとても悲しく思えてしまう。
ふと自分の生活を暮らしを振り返って、自分が恥ずかしくなった。
豊かな社会と制度と家と、道具と施設と、いろんなものに甘えて生活している自分。
何とも言えない危機感と焦燥感が湧いてきた。
「世界にはもっと貧しい人々がいる」
とか言われて、
「ふーん、それで?今の自分達に関係なくない?」
とか平気で返せる自分がいた。
知らない世界は確かにそこにあった。
そのほんの一部を見ただけでもショックは十分だった。
生き方が変えようのない人達がいて、そういう社会があって、それ自体が不幸とは限らないけど、少なくともそれよりたくさんの選択肢と安全がある社会にいる自分は、本当に本当に恵まれるんだと感じた。
自分はどう生きるかを自分で選べる。
自分の思ったことをたくさんに人に届けられる。
変えようと思えば制度も政治もいくらでも変えられる。
そんな社会にいるのに。
自分にはまだ生きていけるだけの力が足りない。生き抜く意思が足りない。
なんとなく大きな流れに流される浮き輪みたいな人生を送って、それなりにお金貰って、それであとは自分の好きな事ができてればいいや。そんな、人任せで社会任せのことを平気で思っていた。
ダメだ。
仮にそれで生きていけたとして、そんな大人になって、どうすると言うんだろう。そういう大人ばかりの社会になってしまったらこの国はどうなってしまうのだろう。
見渡してみれば、この国はなかなか危ないかもしれない。
全員海外に行けばわかる、とは言えないけれど。俺にとってたまたま意識するきっかけだっただけだと思うし。
でも最近の日本は「自分達さえ良ければ」って雰囲気がすごい高まってる気がする。あるいは世界がそういう空気なのかもしれない。
より広い視点から物事を見れる人が少ない気がする。自分とその身の回りだけで、大きな全体を気遣わない生き方が主流になっている気がする。自分がいかに好き勝手に生きるか、を考えてばかりな気がする。
海外に行って意識が高くなってしまう人は、こういう気持ちになってたのかもしれない。
「留学とかボランティアとか寒い」なんて、そんなこと全然なかったよ。現実をストレートに目に焼き付けないとわからないことがあるんだ。
ようやく気付けたよ。ようやくわかったよ。
もっと賢くならなくちゃ。もっと多くを知らなくちゃ。自分にできる形で、社会を変えなくちゃ。
とりあえず帰国してからは新聞を毎日読むようにしている。読んでみて、やっぱり自分は引きこもっていたんだ、と思った。
外界を拒絶することは知の拒絶にほかならない。
知れる環境がそこにあるのに、無知でいるのは罪だと思った。
帰ってきて
- 湿気が凄い、サウナかと思った。インド乾燥してたんだ
- なんかミニチュアに見えた、インドに比べたらたぶん空間的に狭いんだ日本
- 水うめぇ!
- 帰国して初飯にラーメン!!美味しすぎた!!
家系大好き!