「君の名は。」を2回見てスッキリ感動できたのでネタバレ解説する
「君の名は。」2回目、見てきました。
初回は「面白いか…?みんな雰囲気に流されてるだけじゃ…?」とか言ってたやつが結局2回も見に行っちゃいましたよ、ええ。
でも聞いて!今回はちゃんと理解して感動できたんだよ!!
(無論今回もオールネタバレ)
まず前回の疑問点回収
初回に俺自身が理解できていなかった疑問点は2回目でほぼ解消されました。
もう多くの方が解説なさっているけれど、あくまで「俺が気付けた」視点で解説を書きたいと思います。
糸守には以前彗星が落ちていた
場所は町の真ん中の湖。
ヒントは瀧が入った三葉が、てっしーと部室らしき場所で電波ジャックの作戦を立てるシーン。
そこでてっしーが三葉を話を信じた理由の裏付けとして(まぁ元々オカルトマニアでそういう話大好きだったんだろうけど)ネットで糸守湖は隕石湖って情報を拾う。
時代は千年前に彗星が接近したとき。
これは映画の予告でも「千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本…」となっているのでまず彗星が接近してたのは間違いない。
そして、そのご先祖様はどういうわけか未来にまた彗星が落下してくることを予知していた。
これが劇中でわかるのは、ほんの一瞬のシーンなのだけれど、瀧が口噛み酒を飲んで転倒するシーン。洞窟の天井に彗星が描かれていたのが一瞬写る。その絵から直接、組紐を辿るような形で回想に入って三葉の記憶を辿っていくので、わかりにくかったと思う。
入れ替わりは宮水の一族の能力で彗星に備えたもの
まずこれが今作のキーとなる裏設定だった。まぁ裏と言いつつも実はちらっと劇中で語られてたし伏線も貼られてたんだけどね。
ただ初見だと理解できない人が結構出てしまうぐらいには話の展開が早くて、劇中のヒントも少なくて気付きにくい作りではあったと思う。ただ作品の構成とテンポ上仕方なかったのかな…なんて2回見た後では思える。
ヒントがあるのは彗星が落下する日、瀧がまだ生きている三葉の身体に入って婆ちゃんと会話するシーン。
そこで婆ちゃんが「わしも少女の頃、誰かと入れ替わった記憶がある。お前の母も」と語る。ここで少なくとも三葉の祖母、母が三葉と同じ体験をしていたとわかる。3人とも宮水神社の巫女だった。
そこで瀧は「もしかして…宮水の人たちの入れ替わりは今日のためにあったのかもしれない!」って言う。
ここの瀧の発言に初見の俺は「?!??」ってなった。
でも、その前のシーンで瀧がそう推測する根拠は揃っていたんだ。
・三葉との入れ替わりには実は3年のタイムラグがあった
・宮水神社のご神体とされる場所の天井で彗星の絵を見た
・入れ替わりが宮水側で受け継がれていることに気付いた
これらの事実から、瀧の発言は「入れ替わりが宮水一族の能力で彗星に備えたものだった」という推測に行き着いた、としか解釈できない。
鍵を握っていた組紐、結び、口噛み酒
この作品で伏線の多くを喋ってくれているのは一葉婆ちゃんだ。別にただ「やたら昔話したがるお年寄り」役ではないのだ。
まず三葉と四葉が組紐の練習?をしているシーンで婆ちゃんが語った「まゆ五郎の大火」。
そのシーンで「草履屋のまゆ五郎の家から火が出て文献などは全て焼けてしまった、おかげで組紐や舞、祭りの意味もわからなくなってしまった、でも伝統だけは続けていかなきゃならん」的なことを言ってた、確か。
(うろ覚え)
おそらく、この組紐や巫女の舞(口噛み酒)こそが先祖が彗星の落下を伝えるために残したものだった。
それのヒントがあるのは、瀧が入った三葉が婆ちゃん、四葉と一緒に口噛み酒を奉納しにいく時に婆ちゃんが語った言葉。
「三葉、四葉、結びって知っとるか?」
「寄り集まって戻って繋がって、それが結び、それが時間」
このシーンで確か一瞬、組紐のカットが入る。
ここがたぶん組紐と時間の関係性の伏線なんじゃないかと。
三葉がずっと髪に結んでて、瀧に会って渡して、そのまま3年瀧が持ってた組紐。
瀧が口噛み酒で三葉に入る前、回想シーンに入るところでも時間の流れを表すのに組紐が使われてたし。
もちろん時を越える事自体がとんでもないファンタジーだけど、ちゃんと伝統的というか、突然起きたものじゃなくて伏線のあるファンタジーだったんだってわかる。
んで、三葉と四葉が水筒でお茶?を飲むシーンで婆ちゃんがもう一言。
「そう、それも結び。水、酒、口に入れるものは魂と結びつく」
これだーーー!!!
ここが口噛み酒を飲んで瀧が三葉と入れ替われた伏線。
その他伏線
なんで名前を忘れたか
名前を忘れるのは、本来知らないはずの人だから。知り合うはずのない人だから。
言われてみるとあっさりな結論。
でも「そこに誰かいたこと」を覚えていたのは、想いだけが強く残っていたから。その人を忘れたくない気持ちが残っていたから。
くぅぅ…切ないねえぇ!!!
2人が出会えた、カタワレ時=逢魔が時
かなり序盤の三葉が初めて瀧と入れ替わってその次の日に登校したシーン。某先生が国語の授業で黒板に書いている。
なんで2人突然会えちゃったのぉ?!カタワレ時ってなんなん?!
ってなってたけど、ここでしっくり来た。
カタワレ時の元の意味は逢魔が時(おうまがどき)。*2
逢魔が時とは読んで字のごとく、魔に会う時間。魔物だったり、この世にいないものに出会うかもしれない不気味な時間のこと。実際に存在する単語だ。
そのシーンで黄昏時、たそ彼時、誰ぞ彼時、彼は誰(カワタレ)時、なんていろんな言われ方も解説されてたね。
誰ぞ彼なんていかにもって感じするよね。だってこの映画のタイトル、「君の名は。」だぜ。
あと思ったのが、地方の方言ってことになってたカタワレ時って言い回しだけどさ。
もしかして彗星が片方割れたからじゃない?(笑)
三葉と瀧の山頂の会話は若干端折られてた
俺の初見の疑問。
山頂で別れた後、なんで三葉に戻ったのにこれからやることわかってるんだ?
でもちゃんと伏線ありましたわ。
てっしーと変電所を爆破するシーン
三葉「自転車壊しちゃったから謝っといてくれって!」
てっしー「誰に?」
三葉「…私に!」
てっしー「全部終わったら詳しく聞かせてもらうからな!」
的なやり取りがあった!!
めっちゃ細かい伏線だけど!三葉のセリフがあれですよ!伝聞調!!(伝聞って言いたかっただけ
たぶん実際の会話としてはしてなかったけど、三葉が瀧から状況をいろいろ聞いた下りがあったと推測できる。端折られてたんやね。
父親をどうやって説得したのか
あんだけ頑固だった町長様こと親父がどうやって折れたのか。
俺的には父親も「入れ替り」を経験していたからじゃないかなって感じがする。というかそれが説得されてしまった理由として一番納得しやすい。
母親が入れ替わり経験者だったことはもちろん、親父と瀧の入った三葉の会話にもそれらしき雰囲気があった。
というのも、まず誰も疑わなかった三葉の人格そのものの入れ替わりに感づいた唯一の人物だったこと。(経験者のばあちゃんは除いて)
それと「妄言は宮水の血筋か…」というセリフ。これも以前に何かしらの不思議現象(あるいはそういったエピソード)を宮水一族に関わることで目の当たりにしていないと出ないセリフな気がする。
あと怪しいのは、ばあちゃんが何か三葉が到着する前に言っていた可能性かな。
あのほんの少しのシーンでは確信的なことは何もわからないけど()
再確認した魅力
こうやって事細かに思い出して文章化していくとね、気付くんですよ。
めっちゃいい映画やんけ!!!!
気付くの遅いっつーの!
会えないはずの2人が出会えた奇跡
なんていってもこの映画の魅力はもうこれに尽きるんじゃないかと。
会えないはずの2人が、身体入れ替わってお互いあたふたして、それでもお互いの生活に愛着湧いて、気付いたら好きになってて、でも気づいた頃にはもう会えなくて…ってもう!!なんだよ!!泣けるわ!!
第一次三葉ルートの切なさ
特に切なくて泣けるのは、三葉視点から物語を追ったとき。
瀧との入れ替わりが最後の日。
三葉は瀧の奥寺先輩とのデートを想像して、涙を流す。
ここで自分の気持ちに気付いたんだろうか。
その当日に瀧のいる東京へ向かう。
「突然訪ねたら瀧くんは迷惑かな、それとも…ちょっと喜んでくれるかな」
あちこち歩き回る。最終的に再開することになる坂、瀧がデート終わった時に電話をかける鉄橋も通る。
「確かなことが一つだけある。私達は会えば絶対、すぐにわかる!!」
諦めかけたその時に瀧を電車の中で見つける。
人混みをかきわけて瀧の目の前まで来る。
もうその時の三葉の赤面具合。可愛いすぎかよ。もう完全に恋する乙女の顔ですよ。
でも瀧の反応は「…誰?お前」
まだ当時中学生の瀧は三葉のことなんて知らない。
「瀧くんなのに…」
会ったのに、わかってもらえなかった。
ううううう切なすぎるうう
「瀧くん!瀧くん!覚えて…ない?」
思い返すと瀧の中で繰り返し流れていた、このセリフ。瀧視点で三年前、三葉にかけられた言葉だったんだね。
でもここで瀧が三葉から組紐を受け取っていたのがほんとに救い。
これで本当に変な女って印象だけで終わってたら悲しすぎる。
そして三葉は糸守に戻る。
そこでばあちゃんに髪を切ってもらう。
次の日が秋祭りの日。彗星が落ちる日。
この日三葉は学校をサボる。
三葉はどんな気持ちでこの日を過ごしたんだろう。
それで夕方てっしーから電話がかかってきて秋祭りに行く。
そこで彗星が落ちてきて、死亡。
うわあああああああ、みつはああああああ(絶叫
重要ポスト奥寺先輩
振り返って思うのは、2人が気持ちを自覚するのに大事な役割を果たしていた奥寺先輩。
奥寺先輩のセリフってどこも印象的で、
デートしてる最中の「瀧くんってさ…別人みたいだよね」
デート後の「瀧くんは昔ちょっと私が好きだったでしょ…でも今は他に好きな人がいる、違う?」
旅館で呟く「好きだったんだ…私」
五年後に瀧と再会した別れ際に「(指輪を見せながら)君も、いつかちゃんと幸せになりなさい」
どのセリフも響くよ姉さん…
特に最後のはなんか胸がギュッとなりますよ
山頂での奇跡的な出会い
俺的に感動したのはもう、ここですよ。ラストシーンよりここですよ。泣きそうですよ。今からでも泣けますよ。
出会えないのかな…と思わせてからのカタワレ時で、時空を越えてとうとう出会える2人!!
なんだかんだ初対面なんですよね、ここでようやく。
ここのシーンの2人のセリフと表情がいちいち良すぎて心にくる。
三葉「瀧くんだぁ!瀧くんがいる!!」
瀧「大変だったよ。お前、すっげぇ遠いとこにいるからさ」
泣きながら喜ぶ三葉となんか雰囲気がイケメンな瀧。
そこで流れる切ないBGM、OPのピアノアレンジ版と思われ。
やっと!やっと会えたんだね!!わずかな記憶だけで、時間も越えて、ようやく会えたんだね!!!
そんな気持ちでいっぱい。もうお互い抱きしめるぐらいしちゃえば良かったのに、もったいない。
いや、ごちそうさまです、ほんといいシーンでした。
その他感動した小ネタ
扉を開けるカット
よくよく見ると劇中のあちこちで多用されてるカット。電車のドアだったり民家のドアだったり。地味だけど場面転換を表現する上手い手法だなぁと感心してた。
三葉とさやちの田舎会話からの…
2人「電車なんて2時間に一本やし、コンビニは9時で閉まるし、でもスナックは二軒もあるし、雇用ないし、嫁は来ないし!」
てっしー「おい!そんなことより…カフェにでも行かへん?」
2人「(目を輝かせて)カフェ?!」
からの缶コーヒー、自販機。
にやけますわぁ。
その後手作りカフェ的なの作ってるシーンあったけど、たぶんあれ中身瀧だよね。
瀧とてっしー絶対仲良くなれそうなキャラしてるよなぁ。
親父さんは元民俗学者
五年後の瀧が糸守を回想するシーンで、どっかの雑誌に「民俗学者→神主→町長」みたいな見出しが乗ってたのがチラッと見えた。
これは親父さんがどうやって糸守と出会ったのか気になりますなぁ。
説得されてしまったのも実は民俗学者として糸守の歴史とかに詳しかったからでは…?
てっしーの万能ぶり
俺的に結構好きなキャラ、てっしー。最初「勅使河原(てしがわら)」って読めんかったわ!
なんだかんだみんなを避難させる計画に重要な役回りをこなせるポジションにいたってのが凄い。
土建屋の息子、工具その他爆弾の使い方も熟知。さらに機械オタク。
部屋にパソコンやら無線機器らしきものがいっぱいあったしね。
「お互い…たまらんなぁ」って言ってたし、三葉に親の七光りの煩わしさで共感する部分もあったんだと思う。
最終的に村から出れて良かったね、てっしー。
やっぱり曲最高
RAD様の曲はこの映画には本当にピッタリすぎる。
曲の入るタイミングが絶妙だし、そのタイミングに流れる歌詞も作品を凄い反映しててスッと心に入ってくる。
最初はOPもあってPVも入るの?!って困惑気味だったけど、作品を全体として見たとき、流れをテンポよくグダらないように見せる役割があったんだなって思える。
みんな「前前前世」に印象持ってかれすぎだけど、歌詞とか雰囲気がリンクしていてそれ以外の楽曲も、どれも捨てがたいんだよ。騙されたと思って聞いてみ、良いから。
要するにみんな、CD買お?!?!
おしまいっっ!!
*1:画像は以下動画からスクショしたものです。 タイトル:「君の名は。」TVCM 大ヒット篇(30秒ver) - YouTube 「君の名は。」予告 - YouTube 「君の名は。」予告2 - YouTube