もみじろぐ

とある男の、心のほんの一部

親父について

俺が最も目の敵にしてる人間、それが親父だ。

 
たぶん俺の人生の中で最も俺が負の感情をぶつけている人間でもある。
 
そんなうちの親父がどんな人間か、私見偏見100%でお届けしようと思う。
 
 
※闇記事注意
 
 
 
 

発端

父親と息子は本来相容れないもの」なんて意見も巷には転がっているが、少なくとも我が家においては発端と呼べるものがあった。
 
今でも鮮明に覚えている、親父が俺の敵になった出来事。それは唐突だった。小2のときの話だ。
 
いつもの通りに家に帰って違和感を感じた。テレビの横に置いてあった、祖父母に買ってもらえたゲーム機。それが忽然と消えていた。
 
母にどうゆうことか訪ねた。母は複雑な表情でこう言った。
 
「父が、捨てたよ」
 
遊び過ぎが目にあまったからだそうだ。もちろん、納得できなかった。
 
 
 

抑圧

それ以来、俺は父が「自分の好きなものを奪っていく恐るべき存在」としか認識出来なくなった。
 
何か欲しいものがあっても、また止められる。奪われる。
 
隠れて好きなことをやるというのは、いつも後ろめたい気持ちがつきまとった。
 
おそらく俺にも落ち度はあったのだろうが、よく覚えていない。
 
覚えているのは圧倒的な恐怖と抑圧ー息苦しさ。
 
 
 
 

ざくっと経歴

父は大学で教授をしている。専攻は物理だったかな。
 
東京生まれ東京育ちで、某日本最高峰の大学に一浪して受かっている。
 
母とはアメリカの大学で出会うという運命的な出会いをしていて、誕生日も一緒だ。
 
俺が小学2のときに京都のこれまた某最高峰大学に呼ばれ、俺たち家族を連れて移り住む。
 
しかし小六で母が亡くなり、俺を東京の両親に預けて今度は大阪の某有名私立大学のポストにつく。
 
その後、浪人した俺を一年だけ大阪に引き取る。
 
 
実のところ、父が凄い人とは知っているが、どこがどう凄いのか俺は知らない。
 
 
 
 

性格

とにかく厳格な親だ。
 
勉学に励むことを常に強要されているイメージしかない。
 
帰ればテストの結果はどうだった、最近は何を勉強しているのか。
 
少し自慢や愚痴をこぼそうものなら批判の矢を飛ばしてくる。
 
「何を甘えている」
「なぜ真剣になれない」
「できることが普通だ、お前は普通じゃない」
 
俺が勉学以外のことをしているのを目にしただけで恐ろしく不機嫌になる。
 
「なぜ無駄なことばかりやっている」
「お前がやるべきことは他にある」
 
 
そういった言葉を何度浴びせかけられたことだろうか。
 
 
そういった言葉の印象が強すぎて、家族らしい会話の記憶があまりない。
 
母が寝たきりだったこともあり、最後に家族3人で食事した日も思い出せない。
 
 
彼の俺に対する行いは、好きなものを選べるバイキングで「これは美味しいから是非食べなさい」と勝手に皿に盛り付けて目の前に次々と置いていくようなものだ。
 
そして不満そうな顔をすればその料理が如何に美味しいかということを何時間も聞かされ、挙句口に無理やりつめこんでくるのだ。
 
 
 
こんな人間といて誰が楽しいと思えるだろうか。
 
 
 
 

優しい面も

ある、と思う。昔から時折極端に気前が良くなる瞬間があった。好きなものを買ってくれたり、美味しいものを食べさせてくれたり。
 
でも、悲しいことに、それを心の底から喜べない。そのときは一緒に大笑いして心地よい時間を過ごしても、また何かの途端に俺の嫌いな親父に変貌するのではないか。
 
それが怖くて、怯えて、近づけない。
 
彼なりの精一杯の気遣いで思いやりかもしれないと気付いていながら、それを受け取れない。
 
愛する人も亡くして、一人息子にこんなにも嫌われて、俺だったら耐えられないな。
 
なぜあの人はあそこまで強くあれるのだろう。
 
 
 
 
 

誰も、味方じゃない

母がいなくなって以来、親父を諌める大人はいなくなった。
 
父方の祖父母は父に対して放任主義。「教育方針は親が決めるもの」という信念の元、どれだけ父が俺を責め立てようとノーコメントだ。
 
母方の親類は、母がいなくなったことでそもそも関係が希薄になってしまった。俺の愚痴は聞いてくれても、やはり助けに駆けつけるとはいかなかった。
 
仮にそうなったとしてもそれはそれで殺伐として、救われたとは言えなかっただろう。
 
別に、誰が悪いとか、そういう話がしたいわけじゃない。
 
ただ、俺が味方と思える大人がいなかった。どこにいても息苦しさしかなくて、それはもうきっと解消も不可能なのだろう。
 
 
そんな風に思っているからこそ、家を飛び出してしまった。
 
だけど、別に1人が好きなわけじゃない。
 
1人は寒くて、俺はあったかいところが好きだ。
 
 
早く自分の家族が欲しい。
 
 
たぶん、俺の芯にある願いは、これだけ。